ソ連専門家のナタリー・グラント・ラガ(Natalie Grant Wraga)は、この問題について深い分析を行っている。「環境保護という口実を使えば、先進国の産業を弱体化させる対策を適用できる。さらに、彼らの生活水準を下げることによって倦怠感を浸透させ、共産主義の価値観を植え付けることができる」【16】 実際、環境主義は旧共産圏から生まれただけではない。それはより深いレベルで、世界中の自由を奪うという共産主義の目標に関連しているのである。

エコシステム、なんていう言葉はもともと英語にある言葉じゃない!

名前が示す通り、エコロジー的社会主義は、エコロジーと社会主義を融合させたイデオロギーである。これは時に「スイカ」と揶揄される。外側は緑だが、中身は真っ赤という意味だ。「社会正義」といった典型的な社会主義の要求をエコロジーのアジェンダに加える。彼らは明らかに、新しい手段で社会主義イデオロギーを推進している。

グリーンピースのような過激な自然保護団体は、目的達成のために手段を選ばない。この点において、過激な環境主義と共産主義は酷似している。2007年、グリーンピースのメンバー6人がイギリスの石炭火力発電所に乗りこみ、妨害を働いた。彼らは3万ポンドに上る損害を与えたとして起訴された。活動家たちは施設を閉鎖に追い込んだことを認めたが、より大規模なダメージ(温室効果ガス)を減らすためだったと釈明した。裁判所は彼らに無罪判決を言い渡した。

それ以前にも、グリーンピースは原子力発電所や自動車会社、戦闘機製造工場などに対する損害の罪で起訴されたが、無罪を勝ち取っていた。【29】 この理論で、合法と非合法の手段があいまいになってしまった。

マルクス・レーニン主義は、究極のユートピアを理由に、殺人、放火、強盗を正当化した。同様に、環境保護の名目の下、共産主義は環境破壊を警告し、暴力や違法行為を正当化しているのである。

先ほど挙げた例をとると、グリーンピースは陪審員に対して、犯罪の動機が合法であると認めさせることに成功した。これによって、見せかけだけの、根拠のない主張がまかり通るということを、大勢の人々が受容することになった。これらは普遍的価値観の放棄であり、社会全体の道徳が堕落している兆候である。

物理学者で元NASA長官のマイケル・グリフィン(Michael Griffin)は、2007年、ナショナル・パブリック・ラジオとのインタビューで次のように語っている。

「私は、世界的な、地球温暖化があることに疑念はない。私は、その問題に、われわれが格闘しなければならないかという点については確信がない。それが問題だと仮定するならば、現在の地球の気候は最適であると仮定することになる。われわれが保つべき最適な気候あるいはかつて保っていた気候が存在し、その気候が変動しないようにわれわれが手を打たなければならないという仮説になる。

第一に、気候が変動しないことを保障することは、数百万年の歴史を振り返っても、人類の力が及ぶことではない。第二に、一体どの人類が(いつ、どこで)このわれわれの特別な気候に対して、それがすべての人類にとって最適かどうかを決める特権を与えられているのかと聞きたい。人間がそのポジションを取るとしたら、むしろ傲慢だと私は思う」【33】

グリフィンは、人類は科学については謙虚になるべきだと述べたに過ぎないが、彼はその後メディアや気象科学者たちから厳しい批判を受けた。一部の科学者たちは、彼が無知であると言った。次の日、プレッシャーから彼は謝罪を強いられた。【34】

数カ月後、グリフィンは他のインタビューでコメントした。「私は個人的に、人々は気候変動に対する議論について極端に走っていると思う。それを客観的に議論することさえ、非合法になったのだから。それはすでに宗教的にさえなってしまったが、私は嘆かわしいと思っている」。グリフィンによれば、いわゆる「科学的共通認識」とされる、われわれが思っている気候変動に関する主張は、実際には科学的なプロセスを踏んでいない。彼は、科学的なプロセスは、議論の結果であるべきだと信じている。「(科学者は)理論を組み立て、データを公表し、自分の概念を推進し、他の科学者がそれに反論したり、挑戦したりする。科学的な共通認識とは、そのようにして生まれるものだ」【35】 あらゆる手段や手法で科学的な議論を止めるやり方は、科学の精神に反している。

報告書から削除された部分は以下の文章を含む。【41】

・「上記に挙げた研究は、観察される(気候)変動が、温室効果ガスの上昇によるものとする明確な証拠を示していない」
・「今日まで、すべてのあるいは一部の(観察される気候変動が)人為的な(人類が起こした)原因だと積極的に定義する研究はない」
・「気候システム全体の変動指数の不確実性が減少するまで、気候変動があるという主張は議論され続けるだろう」

後にIPCCは報告書の修正は著者に承認されていると反論したが、同組織がいかに政治に左右されているかが分かる出来事である。評価報告書はオリジナルの研究を含まず、多くは現存している研究の要約にすぎない。現存する研究にはさまざまな意見があるため、最初の目的である「共通認識に達する」ために、IPCCは異なる見解を削除したのである。

IPCCが強調する「災害に対する共通認識」

フランスにあるパスツール研究所の教授ポール・ライター(Paul Reiter)はマラリアや昆虫を媒介とする伝染病の専門家である。彼はIPCCの報告書に反論し、2千人の科学者リストから彼の名前を外すよう訴えを起こした。彼は、IPCCは「世界トップの科学者全員が同意したように見せかけているが、それは真実ではない」と述べている。【43】

彼はアメリカ上院公聴会で証言した。「この議論のイラつかせるところは、この怪しい「科学」が、公のフォーラムで、影響力のある「専門家」によるパネリストによって是認されることである。私が言っているのは特に、IPCCのメンバーである。5年ごとに、この国連機関は「世界トップの科学者たちの共通認識」を発表する。どの科学者を選択するかという過程が怪しいのはさておき、そのような共通認識は政治であり、科学ではない」【44】

環境主義者たちは、気候温暖化が進むとマラリアなどの昆虫媒介疾患が増えると主張し、またそれはIPCCの主な主張でもある。2007年11月27日、ブルームバーグは「地球温暖化は何百万人もの人々をマラリアやデング熱の危機にさらすとし、国連の報告書は気候変動による健康被害を早急に見直すよう呼びかけた」と報道した。【45】 しかし、ライターは、気候温暖化と伝染病の単純な関連づけを認めていない。

彼によれば、マラリアは熱帯地域だけで発生するわけではない。マラリアの大発生は1920年代の旧ソ連でも起こり、またロシア北西部のアルヘンゲリスクでも3万件のマラリア患者が報告されており、1万人が亡くなっている。【46】 2011年の科学誌「ネイチャー」によれば、科学者たちは以前の仮説に反して、気温上昇と共に蚊を媒介する疾患が減っていることを発見したという。【47】 これは、ライターの見解を裏付ける。

また、別の科学者はIPCCがいわゆる「災害に対する共通認識」を運営方針にしていることを批判し、彼も同報告書から名前を外した。ハリケーンの専門家で気象学者のクリストファー・ランドシー(Christopher Landsea)は、IPCCの主要執筆者だったが、2005年1月に脱退した。彼は公開書簡の中で、「私は個人的に、先入観とあやふやな科学に基づいているプロセスの中で、誠意をもって続けていくことはできない」としている。彼はIPCCに対して、報告書が科学よりもセンセーショナルな動機に基づいていないかどうか、確認することを促している。【48】

ランドシーは、IPCCの主著者がハリケーンと気候変動を関連づけていることに反対している。IPCCの主著者(ハリケーンの専門家ではない)は、実際のデータもないのに、気候温暖化がより激しいハリケーンを起こすと強調している。ランドシーによれば、過去の研究でも、そのような関連性を裏付ける歴史的な記録はないという。理論的に言えば、例えそのような関連性があったとしても、それは微々たるもので取るに足らないほどだと指摘する。

オクラホマ大学の地球物理学者デービッド・デミング(David Deming)は、氷床コアを分析して北アメリカにおける過去150年間の気温データを入手し、科学雑誌「ジャーナル」に投稿した。共通認識を主張する人たちは、デミングが彼らの主張を支持していると捉えた。アメリカ上院公聴会で、デミングはIPCCの主著者が彼にメールを送ったことを明かした。「われわれは、中世の頃の温暖期を削除しなければならない」【49】 中世の温暖期とは、紀元前950年~1150年において北大西洋地域で見られた温暖な気候である。この時期の気候変動を削除すれば、今日の温暖化は前例がないと強調できるのである。

このようなケースは数多くある。競争的企業研究所の研究者クリストファー・ホーナー(Christopher Horner)は著書『Red Hot Lies, How Global Warming Alarmists Use Threats, Fraud, and Deception to Keep you Misinformed』(仮題:真っ赤な熱い嘘:地球温暖化の警告者たちがいかに脅迫、詐欺、虚偽を使って皆に偽情報を流しているか)で、IPCCの結論と政治的運営に反対していた多くの科学者を挙げている。【50】 彼らはデータを提示してIPCCのいわゆる「共通認識」に理性的な疑問を投げかけている。しかし、現在の学界やメディアの中で、彼らの声は搔き消されている。

b. なぜ環境主義科学者たちは大災難のシナリオを推進するのか

IPCCの主著科学者はかつて次のように述べた。「もし将来のために、よい環境政策の導入を望むならば、われわれには災害が必要だ。それは、公共交通機関の安全対策と似ているだろう。人類に行動させる唯一の方法は、事故を起こすことである」。【23】 後に、彼はデータ改ざんを主張したわけではないと説明しているが、彼のメッセージは明白である。行動と政策決定の原動力は災害である。

地球温暖化と異常気象を結びつけ、気候問題を誇張するやり方が流行っている。さらに、この流行に迎合するような科学的推論が継続的に報告されている。

2014年初め、北アメリカは極寒の冬を迎えた。極寒の理由の一つとして、地球温暖化による北極の雪の溶解がジェット気流に変化をもたらし、極端に冷えた北極の空気が南へ移動したため、より頻繁に寒冷な気温をもたらしたという説明がなされた。このような反直観的な仮説がメディアや環境主義者たちによって伝えられた。極寒の気候でさえも、地球温暖化のせいだと主張するのである。実際、長期的な気象学のデータによれば、北アメリカで極端に気温が下がる現象は減っており、その反対ではない。

2014年、5人の著名な気象学者たちが共同で、サイエンス誌にこの現象をイラスト入りで説明した。それによれば、1960年代初頭から1970年代後半にかけて(特に1977年)、さらに1983年、北極の氷が今よりもっと厚かった頃、2014年よりも厳しい冬があったという。過去50年から100年にかけて確かなのは、極端に気温の下がる頻度が減っていることである。【24】

気象科学者ジョン・ウォーレス(John Wallace)は述べている。「極端な天候と気候変動を結びつけるのは見かけほど簡単ではない。サンプルのサイズのため、統計的な推論も制限される…その結びつきが、熱波の時のように統計的に妥当であったとしても、そのケースがより激しくなればなるほど、地球温暖化が異常気象に果たす割合は小さくなる…異常気象と気候変動が関連しているメカニズムが分かってさえいれば、サンプルのサイズが小さいことなど問題ではないが、残念ながら、われわれはそのメカニズムが分かっていないのだ」【25】

2017年11月、元米エネルギー省科学担当次官スティーブン・クーニン(Steve Koonin)は、ウォール・ストリート・ジャーナルに「虚偽的な新しい気候レポート」という記事を投稿した。彼は記事の中で、アメリカ政府の気候科学特別報告書が、海面上昇について不正確に伝え、災害不安をあおっていると批判した。【26】

イギリスのティンドール・センター気候変動研究所のマイク・ヒューム(Mike Hulme)は言った。「過去数年間で、新しい環境現象がこの国でつくられた。その現象とは、『大災難の』気候変動である。単なる『気候変動』という悪では十分ではないため、『大災難の』と言えば注目に値するようだ…なぜキャンペーンを宣伝する人のみならず、政治家や科学者たちでさえも、公に脅威、恐怖、災害といった言葉を、観察できる気候変動の物理的事実と混同するのだろうか。なぜ彼らは科学予測に伴うリスク回避を無視するのだろうか?」【30】

故スティーブン・シュナイダー(Stephen Schneider)は、気候の「共通認識」を主張し、IPCCの第三次評価レポートのワーキング・グループIIのリーダーだった。ヒュームの懸念について、シュナイダーは言った。「われわれは、一般大衆のイマジネーションを掴むために、幅広い支援を得なければならない。勿論それには多くのメディア報道も必然的に伴うだろう。従って、われわれは恐怖のシナリオ、単純化、扇動的な主張を提供し、疑問点については極力触れないのだ」。シュナイダーによれば、科学者は「効果的になるか、それとも正直になるか」のどちらかを選択しなければならず、彼は両方を備えたいと言った。【31】

気候変動による危機という仮説は、人々に大きな衝撃を与える。その裏にあるのは、世界政府を樹立しようとする腹黒い連中だけでなく、科学界の倫理観を破壊する勢力である。気象学は生まれて数十年の歴史の浅い学問である。しかし、地球温暖化を取り巻く仮説は未熟であるにも関わらず、すでに事実として伝えられている。メディアは水面下の不確実性を隠し、地球温暖化を大々的に報道する。莫大な政府の補助金が地球温暖化研究に流れている一方、他の研究は排斥されている。「共通認識」を設定し、強化する過程で、共産主義の闘争と憎悪がむき出しになっている。

科学者が「共通認識」を構築し、メディアや政治家が気候変動の大災害という「共通認識」は「科学的に証明された」と宣伝する。その宣伝は世界中に拡散され、論破を許さない教義となる。人々の思考は統一され、複雑な善悪の概念が人々の心に植えつけられた。

本章の前半で述べたが、イギリスでグリーンピースのエコテロリズムが無罪とされたのも、まさにこのいわゆる温室効果ガスが気候災害をもたらすという共通認識に基づいている。この教義のために作られた数々の規制や政策が世界を混沌に陥れている。手段を選ばすに旧世界を破壊しようとするのが共産主義のやり方である。これらの対策は、すべて偽物の解決策へと誘導する。つまり、世界政府である。危機をでっちあげ、地球と人類を救うという見せかけの目的を達成するためである。

3. 環境主義:別の形の共産主義

共産主義は衰退し、その政治的・経済的な問題が暴露された。しかし、過去数十年間、共産主義は環境主義にとり憑き、彼らのアジェンダを推進している。

a. 政治的な浸透:世界政府の樹立

共産主義の重要な手法の一つは、政府を使って人々の財産や自由を奪い、国家権力を無限に拡大することである。民主的な西洋社会でその手法を使うのは非常に難しい。しかし、環境主義が共産主義に魔法の武器を授けた。人々は「環境保護」の名のもとで権利を奪われるようになった。

第一に、環境主義のイデオロギーが富の再分配に使われている。伝統的に、共産主義は革命による富の再配分を主張する。しかし、何年も経つと、このやり方は非常に難しくなってくる。従って、環境主義者は環境災害を回避するためと称して、人々に自由と財産を放棄させる手法をとった。フレンズ・オブ・ザ・アース(Friends of the Earth)のキャンペーン担当者は国連会議で言った。「気候変動対策の本質は、富と資源の再分配がなければならない」【32】 ウェストミンスター大学の環境保護活動家は、記者に対して「好きと嫌いに関わらず」、炭素割当を「強制しなければならない」と述べ、「民主主義は地球保護とその上に暮らす生物の絶滅より重要ではない」と語った。【33】

環境主義のイデオロギーも同様に、個人の自由を削減するために使われる。伝統的に個人の自由を誇りとする西洋社会において、人々に自分の権利を切り捨てさせ、個人の人生に制限を加えることは非常に難しい。しかし、人々に環境災害という妄想を植えつければ、簡単に自由と権利をあきらめさせることができる。「地球温暖化」と「地球最後の日」という言葉が環境主義の便利なスローガンだ。オーストラリアの炭素センス連合(Carbon Sense Coalition)は、地球温暖化問題への取り組みとして、下記の政策を提案している。

・暖炉とダルマストーブの禁止
・白熱灯の禁止
・ペットボトル飲料水の禁止
・一部の地域から来る自家用車の禁止
・プラズマテレビの禁止
・新空港の禁止
・既存空港の拡張禁止
・電化製品の「スタンバイ」モード禁止
・石炭火力発電の禁止
・電気温水システムの禁止
・自家用車でレジャーを楽しむことを禁止
・3連休の週末は禁止
・赤ちゃんに課税
・大型車に課税
・スーパーの大型駐車場への課税
・ゴミに課税
・別荘に課税
・2台目の車に課税
・レジャー目的の航空便に課税
・太陽光発電補助のための電気に課税
・大型車展示場への課税
・都市部へ入る車にエコ税を課税
・自分の居住区を超えて車で移動するときには許可が必要
・電化製品の選択を制限する
・炭素クレジットをすべての人に発行する
・燃費基準を設定する
・ノルウェーのヘラジカを利用してメタン生成を減らす方法を調査する
・バイク走者がより慎重になるように、道路の白線ラインをなくす【35】

最終的に、環境主義プログラムは共産主義システムの方が優秀だと唱え、共産主義の全体主義を称賛するようになる。人口増加は資源の消耗、炭素の排出、製品の消費を促すため、環境主義者たちは人口抑制あるいは人口削減を訴える。多くの欧米環境主義者たちが中国共産党の人口抑制政策を導入したがる所以である。

ロイター通信の報道によると、1980年代に導入した一人っ子政策により、中国共産党は人口を13億人に留めることができたという。もし制限しなければ、中国の人口は16億人になっていたと推定されている。記事はさらに、この政策により世界の炭素排出量削減にも貢献したと指摘している。しかし、この報道が無視しているのは、数百万人に及ぶ若い命が殺されていること、またそれによる悲劇が多くの家庭にもたらされていることだ。

最も大きな環境問題の一つは空気と水の汚染を含む公害である。中国共産党の経済モデルは驚異的なスピードでエネルギーを消費するため、都市部の水と空気が汚れ、中国は世界最大の汚染国となった。中国の川の大部分は飲料水に適さない。中国からの黄砂が韓国と日本を覆い、一部はアメリカ西部にまで飛来している。

客観的に見れば、環境主義者は中国を批判するのが筋である。しかし、多くの環境主義者たちは共産党を支持し、また興味深いことに、環境保護の希望とまで褒めたたえる。環境に関するニュースを幅広く伝えるアメリカ共産党のウェブサイトPeople’s Worldは、トランプ政権の環境政策が国と世界を破壊すると批判し、中国共産党が世界を救うと宣伝する。【40】

b. 資本主義を批判する

共産主義の目的の一つは、資本主義を転覆することである。環境主義は資本主義を環境の敵とみなしているため、両者の敵は共通している。共産主義は欧米での労働者運動で敗北した後、環境主義を乗っ取ることに力を入れた。単なる環境保護活動が、資本主義打倒という活動に変異した。

古典的な共産主義のやり方を見てみよう。最初のステップは、彼らが権力を収めた後、貧しい者に与えるという名目で富裕者の富を奪うことである。しかし、実際には、貧者は貧しいままであり、すべての富は腐敗官僚の懐に入る。2番目のステップは、国家主導の経済を設立し、私有財産をなくすことである。これにより、国家経済が破たんし、市民全体が厳しい生活を送ることになる。

次に、環境主義の目的を見てみよう。最初に、彼らは裕福な国家に対して、発展途上国に援助を与えることを呼びかける。これは、グローバル規模の富の再分配である。しかし、実際には、最貧国は貧しいままである。なぜならば、発展のために寄与された資金はほとんど腐敗官僚の手中に収まるからだ。

第二に、環境主義は政府を拡張し、市場経済を廃止して計画経済を導入することを主張する。厳しい環境保護政策を利用し、通常の資本主義経済を阻害し、ビジネスを閉鎖あるいは海外移転に追い込み、国の経済を停滞させる。環境主義は、この手法で資本主義を麻痺させている。その意味では、環境主義は古典的な共産主義と極めて似ている。簡単に言えば、環境主義は名を変えた共産主義であり、世界に大災難をもたらす。

環境主義の狙いは、将来の大災難を宣伝し、大衆と政府を恐怖に閉じ込めることである。しかし、この世界の終末を積極的に宣伝する人の多くは非常に贅沢な生活を送り、大量のエネルギーを消費しながら、多量の二酸化炭素を排出している。彼らが迫りくる災難など考えてもいないことは明白である。
危機を利用し、特に「地球温暖化」という「共通の敵」を使って、さまざまな勢力を結集させ、資本主義に対抗する。環境主義者にとって、自然の危機を誇張することは必須なのだ。

大衆の恐怖を掻き立てる簡単な方法は、最も安価なエネルギー、たとえば化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)と原子力エネルギーの恐怖をあおることである。環境主義者はすでに十数年前に、人々に原子力エネルギーの恐怖を植え付けるのに成功した。現在、彼らは化石燃料が最悪の地球温暖化を招くと宣伝する。

環境主義は熱心にグリーン・エネルギーを主張し、太陽光エネルギーや風力発電にとびついた。しかし、残念ながら、グリーン・エネルギーから発生する汚染は過小評価され、あるいは隠されている。太陽光パネルに使われるポリシリコンは、生産の副産物として四塩化ケイ素を作りだす。四塩化ケイ素は環境に危険をもたらす極めて毒性の高い物質である。ワシントンポストの報道によると、河北工業大学材料科学科のRen Bingyanは次のように述べている。「四塩化ケイ素を投棄あるいは埋め立てする土地は不毛となります。草も木もそこでは育ちません…それはダイナマイトのようなものです…有毒であり汚染していきます。人間は決してそれに触れることはできません」【45】

われわれは、環境保護の必要性を否定しているのではない。しかし、環境保護の目的は、万物の長である人間のためでなければならない。環境保護は、人類の必要性とバランスを保たなければならない。環境保護が彼らの目的のためになれば過剰となり、人類に犠牲を強いることになり、また共産主義に乗っ取られてしまう。今日の環境主義はバランスなど眼中になく、極端なイデオロギーになった。もちろん、多くの環境主義者は善意に基づいているだろう。しかし、自身の目的のために資源を国家に集中させるやり方は共産主義と一致している。

イギリスの外務大臣は演説で、テロリストたちがメディアでの発言を禁じられているように、地球温暖化に懐疑的な人々が公共の場で意見を述べることを禁じるべきだと言った。【54】 オーストラリアの主流コラムニストは、気候変動を否定する者を「人道に対する罪」で起訴しようと呼びかけた。オーストラリアの主要な政治家が出席する会議で、否定者たちの市民権を剥奪する政策が提起された。そのうちのひとつは、オーストラリア市民を調査し、「気候環境に友好的です」と認めた人たちにのみ市民権を再発行するという政策だった。【55】

著名な科学者で量子力学者のダイソン(Dyson)は、2008年のニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスの記事の中で、「世界的な世俗宗教」である環境主義が、「社会主義を代替し、先導的な世俗宗教になった」と指摘した。この宗教は、「われわれの贅沢な生活による廃棄物で地球を奪うことは罪であるとし、高潔な道とは、可能な限り質素に暮らすこと」を信条とする。この新宗教の倫理観は、彼が詳しく調べたところ、「幼稚園の子どもたち、学校、大学にいたるまで、世界中で教えられている」【64】

環境主義がイデオロギーとなり、宗教色を強めると、異なる意見に対してより不寛容になる。元チェコ共和国大統領のヴァーツラフ・クラウスは、今の環境主義は科学ではなくイデオロギーに左右されており、既存の社会を破壊しようと目論む偽宗教になったと指摘する。この新しい宗教は、共産主義のように素晴らしいユートピアを描写し、人間の知恵によって自然環境を計画し、世界を救済することを謳う。この「救済」は既存の文明に対して反対の立場をとる。例えば、国連平和大学委員会の委員長で京都議定書の考案者は、「産業化した文明を破壊することだけが、地球のたったひとつの希望ではないか?」と述べている。【66】

クラウスは、彼の見解を次のように要約している。「もしわれわれが環境主義者の理由を真剣に捉えるならば、そこには反人間主義のイデオロギーがあることが分かる」。彼は生物学者のイバン・ブレチナ(Ivan Brezina)と同意見で、環境主義は理性的ではなく、科学的なエコロジーの危機ではなく、どちらかと言えば文明全体の否定に帰着すると述べている。【67】

環境主義は、環境を守るという名目で、反対意見を述べる人々を攻撃し、人々の間に憎しみを造る。この極端な憎悪の中で明白なのは、過激な反人間主義である。カナダの政治評論家マーク・ステイン(Mark Steyn)が指摘するように、環境主義者によれば、「われわれは汚染であり、不妊だけが解決策である。子どもたちに捧げる持続維持可能な環境とは、子どもを一人も作らないことだ」。例えば、イギリス人女性のトニー・ヴァーネリは、堕胎して不妊手術を受けた。なぜならば、子どもを持つことは環境にとってよくないからだ。【68】

結論:環境危機を回避するために、神を敬い伝統を復活させる

神が、人類と美しく繁栄する地球を創造した。ここは人類が生活し、繁殖する環境である。人間には資源を利用する権利があり、同時に資源を大切にし、環境に配慮する義務がある。数千年もの間、人間は古代に神が残した警告に留意し、自然と調和しながら生きてきた。

現代の環境問題は、結局、人間の心が堕落したから引き起こされたのである。道徳の堕落は、科学技術の発展により加速した。自然環境の汚染はつまり、人間内部の汚染を映し出している。環境を浄化するには、まず自分自身の心を浄化する必要がある。

環境に対する認識は、人間の自己保存という本能に由来する。これは自然なことであり、理解できるが、共産邪霊に操られる隙を与えた。共産主義が大規模なパニックを起こし、歪んだ価値観のオンパレードを押し付け、人々の自由を奪い、政府を拡大し、世界政府までをも樹立しようとする。環境を救うためにこの共産主義の変種を擁護すれば、人類は奴隷化し、破壊は加速するだろう。

われわれが直面する環境問題に対して、強制的な政策は解決策とはならない。現代技術に頼ることも道を示すわけではない。危機を解決するために、われわれは宇宙と自然、また人間と自然の関係を深く理解し、正しい道徳基準を維持する必要がある。人間は伝統を取り戻し、道徳を向上させ、神から与えられた道に立ち戻らなければならない。このようにすれば、人間は自然に神の智慧と恵みを受けるだろう。生命が活気あふれる美しい自然が復活する。天地の輝きと繁栄が永遠に人間に与えられるだろう。

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