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なんか、全部手に入れてしまった感
仕事も、地位も、筋肉も、コミュ力も。かわいい奥さんも、子供も。お金も、自宅も。マネーマシーン(相場)は乗りこなせている。
あとやらないといけないのって、学術の業績(論文)と英語力くらいじゃね?それに子供の教育とか単身赴任で愛を保つ方法とか。
ふと気がつくと、そんな風に思っている自分がいた。
「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」
藤原道長の歌が頭に浮かぶ。まさに、なんか全能感。すべてが手の中にあるような、そんな錯覚。
8年目の罠
いや待てよ。
内科医はだいたい卒後6年目くらいで全能感を抱くんだそうだ。じゃあ外科医は8年目くらいで全能感を抱いてもおかしくない。
つまり、まやかしだということですよ。
この気づきが、すべてを変えた。今感じている「全部手に入れた感」は、キャリアの発達段階における一時的な感覚に過ぎない。多くの医師が通る道であり、むしろここからが本当の勝負なのだ。
見えてきた3つの課題
冷静になって考えてみると、自分がやるべきことはいっぱいある。
①ラッキーを実力に変える
これまでの経験を、自分の糧に変えていくことが必要だ。上司に実は救われている場面、上司の助言で判断している場面など、数え切れないほどある。
それらを思い出して、復習して。上司がいなくてもできるように。メンターがいなくてもできるように。今まで「運よく」うまくいっていたことを、確実な技術として自分の中に定着させていかなければならない。
②絶対安全の盤石化
今までたまたま運がよくて助かっていただけのところを、絶対安全・盤石にするために、リスク管理能力、健康管理能力を鍛えていく必要がある。
交通安全とか、寝室の管理とか。アルマナックにするのもよい。鍛えていくというか、リスク管理、健康管理、感情の管理を今まで以上に徹底的に実践していく。
③遠い未来への備え
ミドルエイジ、ミッドライフクライシスなどへの対策。わりと遠い未来のことを考える必要がある。
少林寺拳法の師匠が言っていた。「人生は長い旅路」。いろんなことが起こるから、それを想像して備える。「49歳が危ない!」とかね。
全能感の向こう側へ
表面的には「すべてを手に入れた」ように見える今の状況。しかし、それは単なる通過点に過ぎない。
真の成熟とは、この全能感を「まやかし」と看破し、次の成長ステージに向けて謙虚に準備を続けることなのかもしれない。
藤原道長の歌を口ずさみながらも、その危うさを知る。それこそが、外科医8年目の、そして一人の人間としての、本当の成長なのだろう。
人生は長い旅路。まだまだ続いていく。