肺瘻閉鎖の奥義

明らかにわかる大穴(しかもなかなか治らない)に対しては、ネオベール+ベリPで栓(spigot)をするという方法が使えることがある。

まず両肺換気にする。穴にA液(青)を少し入れとく。

これとは別に、A液に浸した1.5cm角のネオベールをくしゃくしゃっと丸めて穴に充填する。

一個じゃ足りない場合、二つ三つ入れる必要があることもある。

両肺換気というところがミソである。

つまり、換気をしている間に肺の中に糊が吸い込まれて行くという仕組みである。なかなか良く考えられている。

そして栓をした穴に、B液を当量かける。しばらく待つと、とりあえず栓はできる。

その上からA液に浸したネオベールで蓋をする。

少し広範囲に蓋をして、それからB液をかける。

十分時間がたった後なら、リークテストを行っても大丈夫である。のりで十分接着されていれば、はがれることはない。

ここまでしなくても、平面のネオベール+のりだけ、あるいはのりだけでも、もちろん有効である。

難治性気胸治療の奥義

(補足)

この肺瘻閉鎖の理論的根拠は何か?

それは、リーク量を減らすということである。リーク量がふえると穴を開く力がとじる力(生体の治癒力)にいつまでも勝ってしまい(治癒力が穴を開く力に負けてしまうといってもいい)、いつまでも肺瘻は治らない。

逆に、穴を開く力、すなわち空気の流量または空気の圧力を弱めれば、

生体の治癒力が勝ってくれるので穴がふさがる。

流れがあるものに関してはオームの法則(E=RI またはV=RI)が成り立つ。

オームの法則 E=RI のEはほぼ一定(胸腔内陰圧または人工換気の陽圧)であるから

できるだけR(抵抗)を高めてやることで、I(流量)を減らすことができる。

これが肺瘻の閉鎖に良い。

また、こんな説明もできる。

ベルヌーイの定理

一様重力のもとでの非粘性・非圧縮流体の定常な流れに対して{\frac  {1}{2}}v^{2}+{p \over \rho }+gz={\mathrm  {constant}}

が流線上で成り立つ。ただし、 vは速さ、p は圧力、\rho  は密度、 は重力加速度の大きさ、z は鉛直方向の座標を表す。

穴の断面積が減れば空気の流速vが増えるので、pを減らせる。

これが肺瘻の閉鎖によい。

また、何よりも、材料が問題である。肺瘻の穴に充填する材料は、

・しっかりとした密着性をもち(生体にフィットし、安易にスポッと抜けたり流れたりしない。)

・かつ、創傷治癒機転により穴が塞がるにつれて徐々におしのけられる(または組織に吸収される)ことができ、

・そして、もちろんだが丈夫で(すぐに溶けない)空気を通さない

上記のような条件を満たさねばならない。

それを満たすのがフィブリン糊である。

その意味において、肺瘻閉鎖法は完成していると言って良い。

すごいねー

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